今だから分かること。(認知症の母と娘の暮らし)

今だからわかること…


今回は、ウチがハッと気づいたことについてのお話になります。

ある日、突然、


ハッと気づいたんです!

The person who noticed
まあ、こんなことですねん!
聞いてもらえますでしょうか?



1.春ちゃんは、右耳が聞こえません



実は、春ちゃん(母)は、右耳がまったく聞えません。


なにやら、春ちゃんの話によりますと、



幼い頃に「ある事件」に巻き込まれて、右耳を負傷して、そのときから聞こえなくなったそうです。


(詳細を聞くと、ものすごく可哀想な出来事です。)


2.でもね、隠していた…


でもです。


春ちゃんは、ウチら子供たち(2人)に対して、


自分の右耳が一切聞こえない「事実」


をひた隠しに、隠していました。



ウチらの前では、いつも聞えるフリをしていたのです。



もちろん、「補聴器」なんてしてませんでした。

「補聴器」をしてる春ちゃんなんて、見たことがなかったです。



今から思うとですね・・・、


たぶん、これは、春ちゃんが、ウチら子供が「いじめ」にあうのではないかと危惧したからだと思います。


「負い目」を感じてたんやと思うのです。



(今みたいに「多様性」が認められる、尊重される時代ではなかったので、春ちゃんはものすごく気にしてたんだと思います)


3.当然、微妙なときもあった



春ちゃんが、右耳が聞えない「事実」を隠してたもんですから、


当然、親子関係が微妙になる時期


もありました。


敏感な「思春期の頃」は、とくにひどかったです。



声をかけても、全く反応しない春ちゃんに、多感なウチは「無視されている」と勝手に思い込んで、ひどく落ち込みました。


Depressed person



また、ところ構わず「やたら大きな声」で話す春ちゃんにも、違和感ばかりを感じ、解せない時期もありました。



自分の中から沸き起こる「無視できない感情(反抗心)」に苦しみました。



実は、信じられないことなのですが、

右耳が一切聞こえないという「事実」を知ったのは、

成人してからずっと後のことです。



4.想像する以上に、不便!



春ちゃんの右耳が聞えないという「片耳難聴」の不便さは、ウチが想像していた以上に不便です。



まず、聞えない耳の側から話しかけられると、春ちゃんはほとんど聞き取れません。


聞える側から話しかけないと、会話ができません。



次に、どちらの方向から音や声がしているのか、春ちゃんは分かりません。


「どこかで、音がしているなあ」という程度にしか気づけないようです。


(なので、危険が迫っているときに、即座に気づけないので、非常に恐ろしいです)



もちろん個人差はありますが、春ちゃんの場合は以上の通りです。



「耳が不自由であるとはどういうことか?」を実感した出来事がありました。

ご興味のある方はご覧ください。



5.ほんで、ある日、気づきましてん!


  1. 春ちゃんの右耳が聞えない「事実」
  2. 「片耳難聴」の不便さ

という2つの事情を知ったウチは、ある日、突然、ハッと「今だから分かること」に気づいたのです。



何に気づいたのかと言うと、



春ちゃんの子育ての
「苦労」です



もちろん、世の中の「どんなお母さん」でも、そらもう必死に子育てをしています。


それはすごく分かっているつもりです。



その中で、春ちゃんも、同じように、必死にもがきながら、子育てをしてくれていたという「事実」に、今さらながら気づいたんです。


6.子供は危険と隣り合わせ



子供は、常に「危険」と隣り合わせです。


「危険」に対して無知な上に「好奇心」が旺盛なことから、無謀なこともしがちです。

Baby trying to swallow a battery



それだけじゃないです。

世の中には「危険な人物」もウロウロしています。

bad person


ただでさえ「危険」だらけの環境の中で、あちこちと自由に走り回る子供たちを育てることは、そらもう想像を絶する苦労があるに違いないと思うわけです。


7.涙が止まらん!



いろいろなことを理解できた「今」だからこそ分かるのですが、


春ちゃんは、片方の耳が聞こえない状態で「危険」を必死に察知して、ウチらを守り育ててくれたのです。



「毎日、どれほど、神経をピリピリさせていたのだろうか?」と想像すると、もう胸が張り裂けそうです。



ものすごい苦労があったに違いないと理解できるので、涙が止まりません。



そして、「今」だからこそ分かるのですが、


近い将来、このことを思い出すたびに、「大声で泣きたくなるとき」が必ず来ます。


A person crying loudly



8.わだかまりが消えた



そやからです。


「今だからわかること」に気づいたとき、今までのわだかまりが、すんっと消えました。


  • 思春期の頃に無視されていると思っていたこと
  • ところ構わず大声でしゃべるので、違和感を感じていた

ことなどです。


すべてが、しゃーっと氷解していきました。



なんや、無視されてたんと違うかったんやな。

単純に聞き取れなかったんやなぁ。

春ちゃんは「大声」で話しているつもりじゃ、なかってんな。

相手の声が「小さくて」聞き取れなかったから、
自然と「大声」になったんやなぁ。


あんなに、わだかまりがあったのに、

嘘みたいに溶けていきました。




9.帳消しにできる!



そして、春ちゃんの子育ての「苦労」に気づいてから、ウチの「心の持ち方」もずい分と変わってきました。


つまりです。


認知症の症状が出てきた春ちゃんに、

どんなにイライラしても、
どんなにヘトヘトに疲れても、
どんなに泣きそうになっても、



春ちゃんが必死に育ててくれたことを思い出すだけで、すべてのことを帳消しにできるようになりました。



なんか知らんけど
不思議な力が湧いて
踏ん張れますねん。

ほんで、
親孝行しようと思えますねん。


たしかに、なんで、「今まで、このことに気づけなかったんやろうか?」と思いますが、


今では、きっと「然るべきとき」に気づけるように、あらかじめ「細工」されてたんだろうなと思てます。


「認知症」の症状が出てきた頃に、気づけるように、


そして、「そんな春ちゃん」を大切にして、できる限り真心をもって尽くせるようにと、


ある意味「ターニングポイント(転機)」として、あらかじめ設定されてたんやと思うわけです。はい。


ほんまに、ほんまに。






こんにちは。

数多くあるブログから見つけてくださって、どうもありがとうございます。

このブログは、はる(春)ちゃん(母:認知症)とウチ(私)の何気ない日々の暮らしを綴ったものです。

くすっと笑えたこと、困ったこと、ビックリしたことなどを綴っています。

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ウチは、ものごっつい元気が出ます。