春ちゃん、お財布を盗まれたんだってよ…(認知症の母と娘の暮らし)

ついに春ちゃんも…来たで!




今回は、「認知症」の巷でよく耳にする「お財布が盗まれた!」という「もの盗られ妄想」のお話です。



ついに、ウチのところの春ちゃんにもやって来ました。


そやけど、そんな状況の中でも「ちょっぴり笑えたこと」もあったのでお話しようと思います。




ほな、聞いてくださいまし、まし。




1.ある日の事です



妄想が起きたのは、春ちゃんと2人でご先祖さんの「お墓掃除に出かけた日」のことです。



その日は12月の暮れとあって、めっぽも寒うございました。



ちなみに、我が家のお墓は小高い山の山頂にあります。


これでもか!と寒い風が吹きすさぶ「最高のロケーション」でごっざいます。はい。


当然ですが、あまり動けない(腰椎圧迫骨折治療中)の春ちゃんにとっては過酷すぎる「お墓掃除」でした。



寒い!寒い!
はなちゃ~ん、
お母さん、寒すぎるねん!

People who are cold and rattling


そらそうやろう?
そやから、ウチ
出かける前に
「寒いでぇ?ええのぉ?」って
言うとったやん?
The person who advises

はよ、
車の中へ避難しとき!


仕方がありません。


春ちゃんには、お掃除が終わるまで、車の中に待機してもらうことにしました。



2.ふと何気に見たら・・・



春ちゃんを車に避難させて、

ウチは、せっせとお墓の掃除やら、お花を整えてました。



ほんで、車の中の春ちゃんの様子が気になって、何気に視線をやったらですよ。


3.なんと、スマホをいじっとる!




春ちゃんは、驚いたことに、普段は「見向きも、触りもしないスマホ」をいじっとりました。



おう、なんでや?
電話しとる?
誰に?
そいもお墓から??

Surprised person



ウチは、直観的に何かを悟り、めっさ胸騒ぎを覚えました。


お墓の掃除やなんやらをほっぽり出して、足早に車のそばに向かったのです。



えっ? 一体、
誰に電話しとうの?


4.ほんで、耳を澄ませた



ほんで、車の外から、耳をじっと耳を澄ませました。


(お友達やったらええのに・・・・)



ところで、
電話の相手はだあれ?

People who are suspicious




5.なんや、ケアマネさんやった




電話の相手は、春ちゃんをお世話してくだっているケアマネさんでした。



なんや、ケアマネさんかいな?
慌てて損したわ
(損?ってなんやねん)

Relieved person



と、胸をなでおろした瞬間ですわ・・・・





ぐっえっ、
えええええ~~~~! 
なんじゃ、
こりゃあああああああ!

A person being rubbed by the waves of life



となりましてん。



6.えげつないことを言いよる!



春ちゃんとケアマネさんの会話をそれとなしに聞いていたウチは、




ビックリ仰天しました!
目ん玉が出たで
Surprised person




春ちゃん、

えっげつっないことを
喋り出したんですわぁ。



【電話の内容は以下の通り】


私ね、

ケアマネさんにお話ししようかどうか

ずっと悩んでいたのですけど…

でも、事がことですので…

この度、お電話しました。



(「はい。どんなことでしょう?」)

(春ちゃんのスマホは受話音量が最大なので、相手の声が漏れ聞こえるねん)



実はですね。

デイサービスで「お財布」をとられた みたいです。

私のバックに入れていた「お財布」がなくなっている んです。

何度探しても、出てきません。

たぶん、いや間違いなく

デイサービスの 誰かが盗ったんや と思います。

で、そちら様で調べて欲しくて・・・云々かんぬん・・・・



とスラスラと喋っとうじゃないですか?



おい!こら、
まて!
ストッ―――――プ!

People who have seen it twice


7.思わず、スマホを取り上げてしまった!



ウチは、あまりもの「えげつない内容」に気が動転して、


車のドアを開けて、春ちゃんからスマホを取り上げてしまいました。


(この行為は、ほんまにアカンことです。ホンマに深く反省してます)



ケアマネさんに、今、春ちゃんが話した内容は、

  • すべて妄想であること
  • お財布は別のところにあること

などの事情を説明しようと思ったのです。


8.ほんならな・・・「援護射撃しろ」だと!




急に、自分のスマホを取り上げられたのに、


春ちゃんは怒るどころか、


何を思ったのか、驚いたことに、




「援護射撃をしろ」と言い出すではありませんか!


どうやら、ウチが加勢に来たと勘違いしたようです。




ええところに来た!
そうやねん。母さんな、
財布を盗られてん。

はなからも、言うたって!



と、ウチに促しますねん。



嘘やろ?

なんちゅう誤解や!

なんで、
「盗られたんですよぉう!」

と、ウチが、
援護射撃せなアカンねん。

People who have chills

それって、親子そろって
「あほう」にならへんかい?
春ちゃん!




9.さすが、ケアマネさん!



電話先の「ウチの慌てぶり」を悟ったケアマネさんは、さすがです。


優しい口調で次のように言われました(なお、カッコの中は、ウチの気持ち)。




「大丈夫ですよ。よくあることですから」

えっ?よくあることなん?・・今、ウチ、相当ビックリしてんるねんけど)



「そのまま、お母さんの話を聞いてやってください」

(えっつ、そのまま聞くのん?  ・・・無理ぃ~~!)



「どうか、否定せずに」

(えっ、こんなに迷惑かけとうのに、否定せえへんでええの?・・・)




10.でな、帰宅してから、2人で探したよ




ケアマネさんの「アドバイス」どおり、


それから、普通にお家に帰って、普通に「お財布」を探しました。


ウチは、春ちゃんを「お財布」のありかへと誘導しました。


11.ほんならな、しっかりと出てきた



ほんなら、しっかりと「別のバック」から出てきました。


春ちゃんの「お財布」が!!!!(当たり前や…)


帰宅するまでは「盗られたにちがいない!」と相当息巻いてましたが、



実際に、目の前に出てきた自分の「お財布」を見て、「自分の記憶」がよみがえってきたみたいです。



春ちゃんは、ちょっとなうなだれとりました。




やけど、あとからびっくりするのですが、


ショックを受けているのは、後にも先にもこの直後の「この瞬間」だけやったのです。



12.あとは、めっさケロッとしているねん



なっ、なんとですね。


春ちゃんは、不思議なことに(恐っろしいことに) 30分もしたら、


自分の「お財布」に関わるすべての言動をケロッと忘れとりました。



  1. ケアマネさんに電話したこと
  2. 財布が盗られたと告げたこと
  3. 探したら出てきたこと

などをです。


すべてをキレイさっぱりとケロッと忘れ去っとりました。


うそやろう?


13.これは、すべて、自己防衛本能らしい・・・



なんや聞くところによりますと、


このように春ちゃんがすっかり忘れ去ったのは、


すべて誰もが持っている「自己防衛本能」のひとつらしいです。



ただ、誰でも持っている「自己防衛本能」が、春ちゃんの場合、顕著になっただけだそうです。



と言われても、まだまだ、なかなか、ウチは慣れないです。


14.やけどな…春ちゃんなりに解決しとった



このように

  • 罪悪感のカケラもなく
  • ケロッと忘れてしまっている


春ちゃんに、若干の違和感を感じながら、数日過ぎたある日のことです。



なにげに、春ちゃんのベットボードの枕をどけたらですよ・・・



そこに、

春ちゃんの「お財布」が、

しまってありました。


なっ、なんと、あれから、春ちゃんは自分の枕元にいつも「お財布」置いてるらしいのです。


15.ほんで、なんでか、聞いてみた!



あまりも不思議なので、一応、春ちゃんに聞いてみました。


ほしたら、次のように言いよりましてん。



お母さんな
人を疑うと、
気持ち悪くなるから

こなして、
いつも確認することにしてん…




やって。



なんか、笑っちゃった。可愛いです。


やっぱりウチは、春ちゃんが大好きです。


16.最後に、こんなこと思った



今回のような「もの盗られ妄想」などといった行動・心理症状(BPSD)は、

  • 周囲の不適切なケア
  • 身体の不調や不快
  • ストレスや不安
などが原因となって現れる症状らしいです。


春ちゃんが「なぜ、財布が盗られた」と混乱したのか、その原因を理解しなアカンと思てます。



そして、春ちゃんが、なるべく不安を持たないような、穏やかな暮らしを作っていかなアカンとも思ってます。




正直なところ、最近のウチは、あれこれとイライラすることが多いです。


ウチの「こんな気持ち」が、春ちゃんに「不安や混乱」を与えているのかもしれません。


ひょっとしたら、ウチがイライラしている「原因」を探ったほうが、早いかも?




自分の「固定概念・良識や常識」を今一度リセットして、


「認知症になった春ちゃん」を理解しようと思います。



ホンマに、ホンマに、それが春ちゃんの症状を「悪化させない唯一の方法」かもしれへんと真剣に考えてます。




今回のことで、このことに気づけてよかったです。


今では、ケアマネさんから「ヘタに騒いだらアカンよ」とアドバイスしてくれた「意味」が、ちょっぴり分かったような気がします。



騒ぐな、騒ぐな、
イライラするな

それが、症状が悪化させるぞ!

介護がもっと困難になる「種」かもしれへんぞ。



がお、がお、がお。




以上、長々とお話しました。

この度のお話は、

ウチにとって、初めて「認知症とは、なにか?」という衝撃(洗練)を受けたお話です。


これから、いろいろなことを経験すると思います。


どうか、温かい目でご覧くださいますよう、よろしくお願いいたします。








こんにちは。

数多くあるブログから見つけてくださって、どうもありがとうございます。

このブログは、はる(春)ちゃん(母:認知症)とウチ(私)の何気ない日々の暮らしを綴ったものです。

性懲りもなく、毎回投稿してます。

くすっと笑えたこと、困ったこと、ビックリしたことなどを綴っています。

よろしかったら、また、遊びにいらしてください。

ウチは、ものごっつい元気が出ます。